マンション名に、概念のような名詞のつくことがあると思います。
『プラウド』『パークタワー』『ブリリア』といった大手の不動産会社が手がけているマンションのように、それがブランド名まで昇華するとそこには価値が生じます。
いっぽう、ブランド名までは昇華していないタイプのマンション名に概念の語が使用されていると、それはメタファとなり、若干のかなしみがにじんできてしまいます。
友人のご実家のマンション名には、「エスペランサ」とついているそうです。スペイン語で「希望」。
ところが、「エスペランサ」の住宅ローンは、いまだ完済できていないとのこと。
「希望」という概念を具現化したその中で、いまなお借金を抱える友人のお父上。お父上、もう定年を迎えているのでは?
いまのような超低金利の時代に組んだ住宅ローンではないので、なかなか元金も減らないそうです。
おそらく「希望」という概念を具現化したそのボックス内でもきっと、他の分譲マンション同様、「元金」「金利」「団体信用生命保険」「固定資産税」「積立修繕金」とかの単語が何度も出てきたのでしょう。聞きたくないな…。
「エスペランサなのに、そこに希望はない。あるのは借金だけ」と友人。
「借金」もある種の概念ではあるので(貨幣経済)、マンション名に「ハウジングローン」とつければ、より実態に近づけたかも解りません。そんなマンション、ぜったい買わないけど。