他人に言ってもらえた自分への評価コメントの中で、もっとも嬉しかったものはなんでしょうか?
わたくしは、会社の後輩(女性)からの「人って、そこまでテキトウなことが言えるんだなぁって、もうずっとびっくりしてました」です。ほかにも嬉しい評価コメントはあったとは思いますが、パッと思いつくのはこれですね。
背景はこうです。
単身赴任している会社の先輩(男性)(以下Hさん)は、家族に逢いに、隔週くらいでご実家に帰っていました。たしか名古屋のほうだったので、いつも東海道新幹線の時間を気にされていました。職場から東京駅、名古屋から私鉄の時間。
ご実家に帰る日はでかいキャリーケースを携えていました。それがHさんのデスクの横に鎮座ましましている日はご実家に帰る日です。Hさんがなるべく早く退社できるように、わたくしども後輩も気を遣います。気を遣おうとしたら、定時前なのにすでに退社している日もありましたが(無断早退)、それはまあもう仕方ありません。
それで、そのでかいキャリーケースを見た後輩(女性)に、「Hさんのキャリーケースは、なんなんですか? 旅行ですか?」などと聞かれたら、わたくしのテキトウな発言の出番です。
「週末はガラガラ(スーツケースのこと)持って、名古屋のほうの実家に帰るんだって。洗濯する服とかが入ってるんじゃないかな」
「ああ、なるほど、そうなんですね」
「ガラガラ引っ張って帰ったら、新幹線間に合わない時があったみたいで」
「えっ、そうなんですか」
「そういうときはガラガラの後ろにまわりこんですごい速さで押して、それに乗って浜松町くらいまでは並走するんだって」
「」
「ガラガラの引っ張る柄の部分で、バランスを調整して」
「」
「だいたい同じくらいの速さになったところで、ガラガラから飛び立って新幹線の屋根に座るらしい」
「」
「新幹線の屋根には、こう、腕を組んでまたがる感じで、ドシ〜ンって座る」
「」
「この前は、それでなんとか終電ギリギリ間に合ったって」
「…人って、そこまでテキトウなことが言えるんだなぁって、もうずっとびっくりしてました」
この反応は、なによりの褒め言葉でしたね。