健康なウサギのフンは、くさくありません。
ウサギは草食動物なので基本的にはニオイはないのですが、体調を崩したり消化がよくないと通常と異なるタイプの柔らかめのフンを排泄し、それがニオイのもととなります。
うちで飼っているうさぎ(かわいい)も11歳を超える年齢のせいなのか、フンがくさくなったと妻が騒いでいました。通常タイプのフンなので、これがくさく感じるのは事(こと)です。
ただ、妻の「くさくなった」発言には、わたくしの視点からすると信憑性がありません。
妻が「これくさいよ」と言ってくるものはだいたい無臭で、「部屋干し臭がヤバイ」とワイドハイター漬けにしていたタオルも、わたくしには無臭に感じられていました。
わたくしはもう35歳のおじさんなので、自らの体臭によってすべての悪臭を相殺している可能性があります。ある種にはベンリであり、そして「戻らない若さ」「すなわち死」を感じます。
そんな妻が、「うさぎ(かわいい)のunkoがくさい」と騒いでいるのです。
わたくしはちょうど昨日の残りのおでんを食べている途中だったのですが、「え〜、ぜんぜんくさくないよ、大丈夫だよ」と一笑に付す未来を見据え、おでんの膳をいったんテーブルに置き、妻がティッシュに包んで持っていたフンのニオイを嗅ぎました。
うわ〜、ひくぐらいくさい。まじのやつ。夏の新宿のガード下。
想像を超えるくささにおののいたわたくしは「まじでくさいじゃん…」と消え入るようにつぶやき、「でしょ、大丈夫かな…」という妻の声を背に受け、残りのおでんを食べ始めました。おでんを食べる気はもはやさらさらなかったのですが、食べました。
こんなくさいんじゃ、そら妻も騒ぐわ。無臭のフンをしていたうさぎ(かわいい)が、突如にガード下の野生のおじさんになってしまうのですから。
後日、腸内環境を整える「うさぎの乳酸菌」をうさぎ(かわいい)に買い与え、「うちの子 unkoがくさいんです!」と動物病院にも連れていきました。獣医さんには「様子見」と言われました。