常に自分のアタマを疑いたいわたくしですから、この本を手に取るのは自然です。
本書では、逆説思考の3つの基本型である以下に基づいてそれを論じています。
- 転倒思考「戦争は善である」
- 逆因果思考「急がば回れ」
- 因果反転思考「人間は悲しいから泣くのではない。泣くから悲しいのだ」
物事を考えるときに、常識的な因果律をいったん無視してその枠を越えてみると、新しい結論が得られるかもしれないぜ、という内容が書かれています。いわゆる天才やイノベーションは、やはりこういう常識を超えたところに在ります。
しかし、そのイノベーションがイノベーションを呼ぶと、新たな技術は人間が制御できないところにいってしまうということも論じています。人間がつくっているものなのに。これもある種の逆説です。たしかに技術やツールなどは、もはや誰もが使いこなせるとは言えない領域に達していますね。
逆説思考はお笑いのメソッドみたいなものでもあるとわたくしは思うので、本書で論じられている内容を読むにつけ、松本人志さんがよくやるボケや発言を思い出しました。
たとえば、下半身をお盆1枚で巧みに隠すアキラ100%さん。下半身を巧みに隠す芸風に倫理上問題があり、BPOの審議対象になっていることについて、松本人志さんは「アキラ100%自身が、誰よりも倫理を考えている」と発言していました。たしかに衣類をまとって番組を審議しているBPO委員より、「露出したら終了」と舞台上で常に考え芸に昇華させているアキラ100%さんのほうが、倫理問題に背中合わせの日々を送っていますね。
まさにこれこそが逆説思考だと思います。
逆説思考の事例が多量に書かれている本書には、凝り固まった思考をほどくヒントが書かれています。平易な文章ですので、すぐ読めてオススメです。