言葉や文章をもっと学びたく、「練習帳、練習帳…」と常に思っているわたくしですから、手に取るのは自然です。
日本語や言語学のスペシャリスト、第一人者であられる大野晋先生の名著です。ベストセラーでもありますね。
日本語の基礎であるものの、基礎すぎて「学校では教えてくれない」ようなことが非常に解りやすく、そしてストンと腑に落ちるように書かれています。
- 「は」と「が」の違い
- 「思う」と「考える」の違い
- 「うれしい」と「よろこばしい」の違い
- 「通る」と「通じる」の違い
これらの似た意味・使い方の言葉は、日常生活においてごちゃ混ぜに使っても支障はないでしょう。ただし、やはりそれぞれには微妙に違いがあって、「ニュアンスの違い」があるなんて言います。本書では、「ニュアンス」というあいまいな言葉で丸められてしまっている「違い」が、明確に書かれています。この「違い」が解れば、ごちゃ混ぜに使うことはないでしょう。それは「言葉の正しい使い方の理解」であり、日本語がうまく使えるようになるということです。
このような言葉の「違い」にどれだけ敏感になれるか、日本語上達のためにはそれが重要であり必要であると大野先生は語っています。本書は「練習帳」ですので、その「違い」に考えあぐねる問題も数多く載っていますが、解説を読めば納得の連続でした。
ページ数は多くありませんが、この一冊で日本語の基礎で重要なところが学べます。このあたりを、大野先生の「文章には伝えたいことが過不足なくあり、贅肉は落とすべし」という美学であると感じてしまうのは、考えすぎでしょうか。
ベストセラーですのでわたくしがオススメするまでもありませんが、オススメせざるを得ません。書店に急ぎましょう。