アニメ『ドラゴンボール』のエンディングテーマといえば、『ロマンティックあげるよ』ですね。
豊富なパターンのメロディーや憂いと楽しさが二律背反に同居するコード進行もすてきで、「『ドラゴンボール』終わっちゃう…」というエンディングの寂しさも含め、わたくしも大好きな楽曲です。
さて、この楽曲の歌詞に注視すると、「ロマンティックをもらう条件」が意外と厳しいことに気づきました。
もっとワイルドに もっとたくましく 生きてごらん
ロマンティックあげるよ ロマンティックあげるよ
ホントの勇気 見せてくれたら
ロマンティックあげるよ ロマンティックあげるよ
トキメク胸に キラキラ光った 夢をあげるよ
「ホントの勇気」を見せない限り、ロマンティックはもらえないのです。
ロマンティックをあげる側の主観に基づく「ホントの勇気」とはなにか。
定義があいまいな概念を、主観で扱うのは危険です。議論が平行線をたどってしまう懸念があります。わたくしにとっての「ホントの勇気」と、あなたにとっての「ホントの勇気」は、必ずしも一致しないのです。
「ホントの勇気」の認識合わせが必要です。
あらためて辞書をひくと、「勇気」とは、「勇んで物怖じせずに立ち向かう気力」のこと。これに「ホントの」という修飾語がつくので話がややこしくなるのです。
ただし、「御社がお求めになる『勇気』と弊社がご提案する『勇気』について、一度お打ち合わせさせていただきたいのですが、希望のお日にちはございますか」なんて聞いているようでは、それこそそこに「ホントの勇気」は不在です。そこで事前の認識合わせをしては本末転倒です。
要するに、世間一般に広く通用するような「最大公約数的な勇気」をバーンと魅せつければよいのです。
unko たべるとかかな…。
直前で「もっとワイルドに もっとたくましく 生きてごらん」と歌っている前提を踏まえても、たぶんこれは「ホントの勇気」と言っていいと思います。
「ワイルドさ・たくましさ」イコール unko でいいのか、というのは議論の余地はありますが、方向性としては間違っていない。
でもきっと、こんなことをやってちゃあロマンティックはもらえない。
残念ながら、手段と目的が逆転しています。
ロマンティックをもらうための「ホントの勇気」とはなにか。
アニメ『ドラゴンボール』の放送開始は1986年。32年を経てもなお、答えは見つかりません。