味のりだけでよい

行動経済学の見地から、選択肢は多いよりも少ないほうが、人はより多くの満足感を得られると言われています。

夕食が、白飯と鯖の水煮(缶詰)と漬物だった日があります。三角食べもままならない。平面的な味。

しかし、こうしてしっかり記憶するくらい、その夕食は満足度が高かったのです。ひと口ひと口に重厚感があり、満たされてゆく感覚。
それはまさに、冒頭に示した行動経済学の証左であると言えるでしょう。

翻って、旅館に泊まった際の朝食バイキング。
とてつもない眠気もあるので「味のりとごはんだけでもいいな…」と思いつつも、圧倒的な量と種類で迫り来る朝食バイキングを目の当たりにし、「せっかくだから」と満遍なく食べようと画策してしまいます。
明太子と小さな干物にサラダ、目玉焼きとお造りの小鉢、地の漬物もあります。ボイルしたソーセージもいい。白飯だけではなくクロワッサンも食べ、最後にフルーツを食べてコーヒーを飲みます。

まどろみは雲散霧消し、抱えるくらいに膨れる腹。苦しい。朝から苦しんでどうする。本末転倒ではないか。

少ない選択肢で満足する自宅での夕食と、選択肢の多さに苦悩する旅館での朝食バイキング。
後者は贅沢な悩みなのですが、かといって「味のりだけでよい」と朝食を終える勇気は、わたくしにはありません。

でも「朝食バイキング」って言ってコレだけ置いてあったら笑っちゃうな
でも「朝食バイキング」って言ってコレだけ置いてあったら笑っちゃうな

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