上手な文章の書き方を知りたがっているわたくしですから、この本を手に取るのは自然です。
本書では、文章の書き方のテクニックに特化した記述はあまりなく(たとえば、「一文は短く」「係結びはわかりやすく」などはありますが)、文章を書く際の心構えや行動についてが名文章にもとづき多岐にわたって記述されています。よって、いわゆるテクニックを求めて本書を手に取ると期待はずれとなってしまうかも解りません。
しかし、ここに記述されている「心構え」はあらゆる創作活動に必要なものばかりなので、文章を書く人だけでなく、音楽を作る人、絵画を描く人、企画を考える人、デザインを考える人、すべてに共通するものだとわたくしは考えます。たとえば第一章は以下のようにわかれており、この章立ての時点ですでに「よりよい創作活動をおくるため、ひいては人生に必要なものばかりだな……」と思ってしまいます。
- 広い円 – 書くための準備は
- 現場 – 見て、見て、見る
- 無心 – 先入観の恐ろしさ
- 意欲 – 胸からあふれるものを
- 感覚 – 感じたことの表現法
タイトルは「文章の書き方」という本ですが、ある種の哲学でもあり、広く多くの人に読んでいただきたいと思います。オススメです。