わたくしは人の名前が覚えられないので、適当な名前をつけてしまいがちです。
会社の後輩の恋人の名前がまったく覚えられず、ひとまず「モナ美」と呼んでいました。たしか「○○美」だったハズ。
不思議と、自分が思ったり考えたりしたものはちゃんと覚えられる。「モナ美」もすっかり定着しました。
会社の後輩がどこかに出かけたり旅行に行ったり、プライベートな出来事の話を聞くと、「そこにはモナ美も一緒だったの?」と確認するのが定番となっていました。後輩も「モナ美もいました」と返してくれます。
もうこれただのパワハラですね。たとえ涙が乾いても、そこにかつて涙があったことには変わりない。
後日、後輩はついにモナ美と結婚し、住居も注文住宅で建てました。引越し祝いを持って、家に遊びに行きます。
「おじゃましま〜す」
「こんにちは〜、どうぞ〜」
「あっ、こちら、モナ…奥さまですか!?」
モナ美、めちゃくちゃ美人さんでした。なんかもう、たいへん申し訳ありませんでした。
それからというもの二度と「モナ美」とは言えず、「奥さま」で定着しました。
なんなんだよ、「奥さま」以外ないだろ! ストップ! パワハラ!