音を二次元で表現すると、わたくしの発音はタテはまったく合ってなくてヨコはカンペキに合っています。
聞いている音程の高さと、自分の歌っている音程の高さを、どうしても合わせることができないのです。合ったとしても、結構偶然に近い。
カラオケの採点モードとかで歌うと、どうしても半音から全音下がって歌ってしまっているようです。耳が悪いのか音の出し方が悪いのか解りませんが、とにかく上手に歌うことができません。音程を合わせる手段とか方法が一切解らない。
自分の発した音と合わせるべき音の両方を聞いて、発しながら調整していけば合いますが、狙った高さに瞬時に発音することができません。
つまり、瞬間的にタテを合わせられないのです。
一方、リズム感はジャストなようです。リズムや音符に対し、発音が前になることも後ろになることもなく、発音はヨコ軸の中心にきています。
大学生のころ一瞬だけ吹奏楽をやっていた時代があり、わたくしはパーカッションを担当していました。太鼓とか鉄琴とかです。
いま考えても、なぜ吹奏楽をやっていたのか理由はまったく解りませんが、そういう時代がありました。
サークルの先輩には、以下のとおり評されていました。
「まつおかは指揮をまったく見てないけど、リズムはカンペキなんだよなあ」
「全然指揮を見てないけど不思議とリズムはとれているね」
「『そんなに指揮を見ないかね』というくらい指揮を見てないけど、リズムはカンペキ」
「どうやったらそこまで指揮を見ずにリズムがとれるのかを、逆に教えて欲しい。どうやってるの?」
かなりテンポの早い楽曲であっても、ゆったりした楽曲であっても、わたくしのリズム感はカンペキだったようです。
そしてわたくしは太鼓も鉄琴も「正しい位置をバチで打つ」ことに精一杯で、たしかにほとんど指揮を見ていませんでした。指揮者からしてみれば「アイツはなんなんだ」のひと言でしょう。
究極的には「指揮を見る」の意味がよく解りませんでした。指揮を見なくてもリズムはとれると思います。
絶望的にタテが合わなくて無意識的にヨコが合う。
音が外れるとふつうに恥ずかしいので、無意識的にタテの合う人生が幸せだったと思います。