詭弁とか論理とかについて知りたいなと常に思っているわたくしですから、この本を手に取るのは自然です。
本書では「いわゆる詭弁ってどういうもの」かを、「詭弁」「強弁」にわけて解説しています。
「詭弁を使いこなして議論に勝とう」という攻撃的なスタンスではなく、「こういうのは詭弁になります。ちょっと可笑しいですよね」と人生にゆとりを与えるようなスタンスで文章は進んでいきます。とはいえ、結論ありきで進んでゆく問答のフローチャート(魔女裁判で、裁判にかけられた側はどう答えても魔女認定されてしまう)なんかは勉強になります。
本書を読むことで、「詭弁」「強弁」を使いこなすことはできると思います。
相手が反論できないように丸め込ませるのが「詭弁」であり、押し通せば「強弁」です。そういうレトリックを使ったり議論の土台を作ればこちらのものでしょう。「反論させないためにあらゆる手を使う」って、わりとカンタンな気がします。以前ご紹介した『ダメな議論』に通ずるところがあります。
ただし、そんな「詭弁」「強弁」はズルいし「ちょっと可笑しいな」ということが分かってしまうのも本書の特徴です。つまり、本書を読むことで「『詭弁』も『強弁』もダサくて使う気にはなれないし、こんな議論は穴だらけじゃないか」と思えてしまう。そういう意味で、本書は「詭弁」「強弁」発生の抑止力になっていると思います。
本書は文章に解りづらい(古い?)ところがあったり論理パズルが異様に出てきたりするところはすこし退屈でしたが、「詭弁論理学」としては解りやすいと思います。本書もオススメです。