食事に行こうと職場のエントランスを出たところ、街路からノラねこがこちらにゆっくり入ってきました。
「あっ! ねこ!」と声をかけるやいなや、勢いどこかに消えてゆくノラねこ。それは具現化した素早さそのもの。
ノラねこがやや心配なわたくし。ごはん屋さんまで歩きながら、同行者と会話します。
「さっきのねこ、クルマとかに轢かれてないか心配」
「どんだけ優しいんですか。ねこはクルマに轢かれないんですよ?」
「ねこはクルマに轢かれない」
同行者から興味深い理論が飛び出しました。いや、不運にも事故に遭っているねこをわたくしは見たことがあります。
論理と事実は必ずしも整合しない。わたくしその、興味深い理論の源泉となる論理を、問い尋ねます。
「まず、ぼくがねこを捕まえられません。あいつらすぐ逃げる」
なるほど。で?
「で、チャリを漕いでるぼくがクルマに轢かれません」
確かにそれも事実です。なるほど。で?
「クルマに轢かれないぼくが、ねこを捕まえられないんです。そりゃ、ねこがクルマに轢かれるワケないじゃないですか」
よく考えれば、いや、よく考えなくても、むちゃくちゃな詭弁でした。なんなんだ。