わたくしたちの業界(金融系のIT)はセキュリティ関連にうるさく、情報漏洩にかかる事象はかなり問題になります。
たとえば、共用のコピー機に原本が置きっぱなしになっていると「犯人探し→エスカレーション→厳重注意」というルートを取らざるをえません。
で、共用のコピー機に免許証が置きっぱなしになっていたので大騒ぎです。
そもそも免許証のコピーとか完全に私的行為なので、共用の、業務用のコピー機でコピーをすること自体が問題になります。しかもそれが、個人情報のみが記載されている代物。
「勉強に使うもの以外を学校に持っていくと学年主任に怒られる中学校生活」を思い出し、失笑という意味でウケますが、これがわたくしたちのIT業界です。
「えっ、免許証? なんでそんなのコピー機にあるんすか?」
「知らないけど、チーム内に心当たりあるか確認してもらっていい?」
「わかりました。免許証だと名前わかると思いますけど、誰の免許証ですか?」
「スズキって人だね」
「あ、うちのチームにはスズキっていないですね」
「そっか、ほんならエスカレーションしちゃうね」
「はい、お願いします」
幸いにして免許証は記名があるので、わたくしのチームに嫌疑がかけられることはありませんでした。再発防止策とか考える必要もなく安心です。
それにしても誰だよ〜スズキ〜、めっちゃ怒られるぞ。再発防止策の考案は本当に面倒くさいので、知らないスズキの胸中察するに余りあります。
「免許証のスズキさんって、どこのスズキさんでした?」
「あ、あれね、執行役員だった」
まさかのエスカレーション先。「ごめんごめん〜」だったって。
わたくしたちは、今日も矛盾を抱え歩き出す。