知性には限界があるのかなと常に考えているわたくしですから、この本を手に取るのは自然です。
本書は一風変わった作りとなっており、ディスカッション形式で「言語・予測・思考」の限界についての議論が展開されていきます。いろいろな立場をとる専門家や一般人が、あるテーマについて議論していく内容です。
これが本当に面白かった。
言語学や理数学というより、どちらかというより哲学に近い内容なのですが、すべての「学」というものが繋がっているんだな、ということがよく解ります。
そしてこのディスカッション形式というのが面白い。専門家が見解を述べるとやりすぎて何を言っているのか解らなくなっちゃうのですが、そこを司会者や一般人が制止して意見をまとめさせようとするさじ加減もちょうどよいです。読者を置いていかないところがよい。いろいろな立場の人間がひとつのテーマをさまざまな角度で論じるのが面白いです。
論理学や哲学や言語学、あらゆる学問には限界があり、それはやはり「人間」だからとなるところが大きいというのには、「そりゃそうだろうな」と思うと同時に、「なぜ人間には限界があるのか」ということが解りやすく述べられています。
本書の最後では「神」についての議論がありましたが、「万物の原点は神である」というウソ臭さについて、「考えれば考えるほど、実は本当にそうなのかもしれない」と思えてきてしまいました。
世界や宇宙がこのようなかたちで存在するためには、本当に「神」みたいな存在がないと説明がつきません。「偶然」世界や宇宙がこのようなかたちで存在するならば、このようなかたちで存在できなかった世界や宇宙がきっと、それこそ天文学的数字であったことになります。気が遠くなる。
ディスカッション形式で読みやすく、哲学などに興味があればオススメです。本書はシリーズもののようなので、別のも読んでみたいと思います。