『スーパーマリオメーカー』というゲームがあります。
説明不要かとは思いますが、プレイヤー自身がいろいろなバージョンのマリオのコースを作成することができ、しかもそれを遊ぶことができる、画期的なソフトです。
マリオペイントの系譜も受け継いでいるようで、これにはナットク。
しかしこれ、25年前に発売されてほしかった。
小さい頃のわたくしはマリオが好きすぎて、オリジナルのコースを方眼紙にかいて遊んでいたからです。
小学校3年生くらいの頃でしょうか。わたくしは5mm四方の方眼紙を文房具屋さんで買ってきて、色鉛筆でオリジナルのコースをかいていたのです。
パソコンなんてない時代。ぜんぶ手書き。陸のステージや海のステージや地下のステージ。オリジナルの色遣いどおりに色鉛筆で塗って、「ここにはキノコ、ここにはスター、ここにはノコノコがいて、ノコノコを蹴り飛ばしてブロックを破壊することで先に進める」。そんなことを考えながら、せっせとオリジナルのコースをかいていました。
「オリジナルのコースを方眼紙にかいて遊んでいた」と前述したものの、コースは方眼紙に書いていあるだけなので、実際は遊べません。リアルかつ遊びごたえのあるコースを考えて、色鉛筆でひとマスひとマスかいて、それだけです。
だってノコノコは動かないし、ハテナブロックからは何も出ないから。ただそこに、「コースが有る」だけ。
これが俺のマリオメーカー。記入に満足したら方眼紙を片付け、暗い部屋で床に就く。
年月(としつき)は流れ、時は2015年。
そんなわたくしの過去を見かねたかのように発売されたのが『スーパーマリオメーカー』です。わたくしは「幼き頃のユメが叶った!」と興奮しました。
でもダメだ。おじさんなので、もうコンストラクション系のゲームを遊ぶ気力もアイディアもないんだ……。
わたくしにとって『スーパーマリオメーカー』は、過去のかなしみと現在のかなしみの交差点。機を逃すとは、こういうこと。