シャワートイレにおいて、その噴出の強さの現在地が解らないタイプの便座を、ときどき見かけます。
ダイヤル式であれば指し示す位置でその噴出の強さが解りますし、ボタン式であればインジケーターみたいなランプの点灯位置で3ないし5段階程度に分類されたその噴出の強さが解ります。
前者はアナログ式、後者はデジタル式といえますでしょう。それにしても、穴に対する噴出の強さをアナログ式で決定するって、重言みたいですね。
さて、ここで問題にしたいのは、テジタル式なのにインジゲーターみたいなランプが不在のシャワートイレです。
噴出の強さの現在地が解らないので、めちゃくちゃ怖い。
前回の利用者が、噴出の強さを最強にしたままトイレットを後にしている可能性があります。
その状態では、わたくしの爆心地(*)はきっと耐えられない。
いま大便をするということは、今後の振る舞いや生活のことを予測するということ。
「これから会議だから、いまのうちに大便をしておこう」「買い物は続けるけど、催してきたから大便をしておこう」、なんでもいいのです。来るべき何かに備えて、そのタイミングで不意のバーストをしないように、わたくしはいま、大便をするのです。
会議中や買い物中にバーストしてしまうことだけは、絶対に避けなければならないのです。あるいは、大便をガマンしながらの会議や買い物は、まったくもって非効率といえるでしょう。
それらを踏まえての、シャワートイレの噴出の強さの不確実性です。
今後の振る舞いや生活を考えての大便であるというのに、もし不意に最強噴出力の水勢がわが爆心地(*)を急襲することになれば、それらすべての前提がわたくしの爆心地(*)とともに崩壊します。
いまこのシャワートイレの噴出力の現在地を見失った刹那、わたくしは今後の振る舞いも見失う。世界は、儚い。
そもそもインジケーターみたいなランプが不在なので、噴出力の分類が何段階かも解らない。
このタイプの便座を使用する際、わたくしは「弱」を800連打くらいして最大800段階の噴出力に対応するようにしていますが、それでもなお「えっ、“最弱”のハズなのにこの強さ!?」と思うこともままあります。きっと最強噴出力にした場合、体内を貫通してクチから噴出するか、その噴出力で便器が地面にめり込むのでしょう。
人はみな、「いまいる場所が解らなくなること」を怖れています。
シャワートイレがデジタル式の場合、インジケーターみたいなランプを標準装備することを、わたくしは強く求めます。
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(*)爆心地…包み隠さずいうと、肛門のこと