ボタンが押されたことで格納庫から出動し、弱い水流で自身を洗浄したのち強い水流を爆心地(*)めがけて射出する。
これが温水洗浄便座においてノズルが実施する一連の仕事内容です。
ときどき、格納庫から出動している途中なのに、もう爆心地(*)めがけて強い水流を射出し始めているノズルがいませんか。
わたくしは彼を、「ドラマチック射出野郎」と呼んでいます。
ドラマチック射出野郎は、移動しながら爆心地(*)めがけているので、おのずと尻山のふもとを濡らしてきます。じんわりとした温かさが、尾根及び山麓を覆うのです。これがドラマチックと呼んでいる由縁です。
楽曲でいうと、
- イントロ: ノズル起動音
- サビ: 爆心地(*)への射出(きたー!)
の構成ではなく、
- イントロ: ノズル起動音
- Aメロ: 尾根への射出(テーマの提示)
- Bメロ: ふもとへの射出(くるぞくるぞ……)
- サビ: 爆心地(*)への射出(きたー!)
の構成になっているといえます。
どちらがドラマチックといえるかは、一目瞭然(一尻瞭然)でしょう。
また、いきなりのサビは、その射出の勢いや温度が想定外だったときの事故発生が懸念されます。「えっ、“中”の強さでこんな勢い強いの?(慌てて弱める)」「冷たッ! 冬なのにこれ?(慌てて温度チェック)」。
こういった事故発生、ままありますよね。え、ないの? あるでしょ? ないの? あるよね? ありますよね。そうそう。ありますね。
その点、ドラマチック射出野郎はまず尾根付近から攻めてくるので、こういった事故発生時の爆心地(*)への影響を最小限に抑えられます。
「水圧・温度」を目的外の箇所で確認してから目的に使用する、これは温水使用時の鉄則です。
「トイレットペーパーで拭く範囲が異様に広くなる」といった根本的な問題点もありますが、温水洗浄便座メーカー各社さまにおかれましては、この「ドラマチック射出野郎」をデファクトスタンダードとしていただきたいな、と思い、今宵は筆を置きます。
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(*)爆心地…包み隠さずいうと、肛門のこと