空いている中華料理屋さんでひとり昼食をとっていたところ、女性客がひとり入ってきました。
店員さんは現地の方。案内された女性客はわたくしからすこし離れたテーブルに座り、メニューを見ているようです。
しばらくし、呼び鈴で店員さんを呼びました。空いている店内につき、聞き耳を立てているワケではないのですが、否が応でもやりとりが聞こえてきてしまいます。
「今日の日替わりってこれですか?」
「はい、そうです」
「これ、辛いですか?」
「四川風の炒め物? 辛い」
以前わたくしはこのお店で回鍋肉を食べたことがあったのですが、赤さの際立つそれはふつうに辛かったです。常に爆心地(*)を気にかけつづけなければならないほど。
おそらくは、その四川風の炒め物も辛いと思われます。どんなやつだか知らないけど。たしかに、辛さは控えめにしてもらったほうが吉です。
「これ、いちばん辛くしてもらってくれますか?」
えっ?
「辛くする? 激辛?」
国境と立場を超え、店員さんとわたくしにシンクロニシティ。
いちばん辛くするでいいの? 「いちばん」って人生でもなかなか言わない言葉よ?
「そう、激辛。いちばん辛く」
「激辛ね?」
「はい」
「以上でよろしいですか」
「はい」
中華料理なので、デリバリーが早い。
注文してから4分くらいでその女性に「いちばん辛い」四川風の炒め物が到着しました。
「ガッ! ガハ! ゴーホ! ゴホッゴホッゴホッ!」
咳き込むまでもが早い!
わたくしは「ほら〜」って思ったし、その店員さんも現地の言葉で「ほら〜」って思ったと思う。閾下の意識でシンクロニシティを感じました。
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(*)爆心地…包み隠さずいうと、肛門のこと