日本の論点について自分のアタマでしっかり考えたいなと常に思っているわたくしですので、この本を手に取るのは自然です。
意見や見解の別れがちな事象・問題・課題について、著者である出口先生がその視点でどう考察しどう判断するかを論述する本書。その分野は政治経済を中心に、新型コロナウイルス対策や安楽死、そしてLGBTQと、多岐にわたっています。論点を明確に整理し確固たる基準で判断していく内容で、読んでいて気持ちよいです。
また、各章の冒頭に議論の対象を解説する文章があり、あまりよく解っていなかった事実を「ああ、そういうことなのね」と理解できて勉強になりました。「自由貿易」と「保護貿易」とか、学校で習って以来の登場で勉強になりますし、低いと言われている日本の食料自給率のカラクリが解ってよかった(知らなかった)。
出口先生は物事を考察する際に「タテ・ヨコ・算数」を用いるとありました。タテは歴史、ヨコは世界、算数はロジック(論理)やファクト(事実)です。もうこれを知れただけで本書を読んでよかったなと思います。
議論の対象に出口先生が「タテ・ヨコ・算数」を当てはめたとき、そこからどのような結論に持っていくのか。わたくしも自分なりに論点を考察してみたのですが、やはり「タテ」を知らなかったり、「ヨコ」を解っていなかったり、「算数」が足りなかったりで、出口先生と違った結論になることしきり。何が不足しているのかが浮き彫りになるので、どう「考えるチカラ」をつければよいかが明確になります。
出口先生の結論が必ずしも正しいとは思ってはいませんが、しかしながらその結論の根拠が前述のとおり確固なものであるので、説得力はたしかです。グレタさんをめっちゃ褒めていて、「グレタさんそんなすごいの?」と思いましたがすごいのでしょう。
新書としてはかなり分厚い部類に入ると思いますが、文章は平易ですし何よりも「読んでいて気持ちいい」ので、するする読み進められます。オススメです。