きょう(7月13日)は、飼っていたうさぎ(かわいい)の誕生日です。
昨年12月にお月さまに還ってしまってから半年以上が経過し、初めて迎えるうちのうさぎ(かわいい)の誕生日。彼と過ごすことのない7月13日というのは、じつに14年ぶりです。具現化したkawaiiが不在の7月13日、事件です。みなさまご存知か解りかねますが、もはや地球は氷河期を迎えているも同然なのです。
仕事の帰り、彼の霊前にお供えするためのバナナをスーパーで買って帰ることにしていました。
毎年の彼の誕生日、あるいはその前の日、こうしてバナナを品定めしていたことを思い出します。ひと袋198円のバナナじゃなくて、それよりちょっといいひと袋298円のバナナにしてあげよう。あまり大きくても食べきれないから、そんなに大きくないのにしてあげよう。黒い部分はあんまり好きじゃなさそうだから、黒くなってないやつにしてあげよう。
ああ、これがちょうどいいかな、そう思いながらバナナを手に取ります。
もう彼は自宅で待っていないのに、わたくしはあの時と同じ気持ちでバナナを品定めしている。
バナナを手にしたときのこの重さ、このビニールの音と肌触り、持ち上げたときにほのかにハナをくすぐるバナナのこの香り。
わたくしの五感を打つそれらのすべてのゴールが、うちのうさぎ(かわいい)の喜ぶカオに重なります。
バナナが本当に大好きで、駆け寄ってきては喜んで食べてふだんは出ない白目を出し、一気にクチに入れるから若干えずいていた、あのカオを。

思わず涙ぐんでしまいました。
ああ、そうだな、これだけ条件を指定して選択して購入したところで、もう彼はお月さまに還っちゃったんだなあ。
結果のために熟考し、その結果が虚無であった場合、そこに介在する感情はただひとつ、「悲しみ」です。
わたくしはその虚無を理解していたつもりでしたが、行動が伴いません。
わたくしの趣味のひとつに作曲があるのですが、いま着手中の楽曲を合唱曲風にアレンジするための参考として、著名な合唱曲『旅立ちの日に』をApple Musicで聴きながらバナナを選んでいたのもよくありませんでした。歌詞と歌唱が切なさを加速させます。
いま、別れのとき 飛び立とう未来信じて
弾む若い力信じて
このひろい このひろい大空に
目を真っ赤にしてぐずりながら店内をうろつく39歳男性。手にはバナナ。BGMは『旅立ちの日に』。
そういうつもりはまったくないのに、不審者事案になってしまいました。
うさぎさん(かわいい)のお誕生日おめでとうございます。こんなにもかわいく尊いうさぎさんが爆誕したというめでたい日は、たとえお月さまに還ってしまっていたとしても、いつまでもめでたいと思います。
うちのうさぎもバナナが大好きで、もう歳でほとんど寝て過ごしていますが、バナナのにおいには敏感に気づいて、くれくれアピールしてきます。
松岡さんのうさぎ(かわいい)もバナナ食べるために月から帰ってきているかもしれないですね。
ありがとうございます。うちのうさぎ(かわいい)が存命であれば15さいでした。7月13日というのは、奇蹟的なめでたさが刻まれた日になったと思っています。
ゆうさんのうさぎさんもバナナ大好きなんですね。起き出してバナナに寄ってくるのかわいいですね。うさぎ(かわいい)を飼い始めるまでは「うさぎはバナナが好物である」といううさぎ業界の常識を知らずでして、はじめはその食いつきっぷりに多少混乱したものです。
バナナをお供えしてしばらくしたらエアコンからヘンな音がしたり、妻が「うさぎ(かわいい)の匂いがする」とか言っていたりしたので、たしかにお月さまからちょっとだけ帰ってきたかもしれないです。その時ばかりは地球上のkawaiiの総量が激増したとのことです。