銀座にある中銀カプセルタワービルの解体が始まったようです。ついに。
カプセルタワー解体開始 黒川紀章さんの傑作
日本を代表する建築家黒川紀章さんの傑作として知られる集合住宅「中銀カプセルタワービル」(東京・銀座)の解体工事が12日始まった。完成から半世紀が経過し老朽化が進んでいた。(以下略)
解体が決定するギリギリのタイミング、去年の5月ですが、友人のお誘いで中銀カプセルタワービルに見学に行ったことを思い出しました。見学できてよかったです。
全体的にかなり老朽化していましたが、備え付けの家具のデザイン性はレトロフューチャーを具現化した姿としか言いようがなく、いま見ても先進性があり「これはぼくらが想像した未来の姿だな」の感想の連続でした。
システムとしては画期的でデザイン性も「共通認識としての未来」で素晴らしかったのですが、居住空間としては遮熱性に乏しく夏冬が厳しいとのこと。部屋のサイズ感(狭さ)はさほど気にならないかな。
「古くなったらカプセルごと交換」というアイディアは抜群で、いまでいうSDGsを先取りしていたのですが、交換は一度もおこなわれずでした。カプセルの輸送や取り外し/取り付けに難儀して異様にコストがかかってしまうようです。
このようなカプセル方式が普及すれば、ナレッジが共有化されてコストも下がったのでしょう。残念です。
あと、カプセルは中心部のビル本体に「ツメみたいので引っかかっている状態」とのことで、大地震発生時の落下リスクが気になりました。
見学会では当時のパンフレットの復刻版も販売されていたので相当な勢いで購入。見学会では案内の方が説明にこちらを使用していて、目撃してから「それください!」をいつ言おうか迷っていました。
カプセルタワービルは「住むにはどうなんだろう」というご意見も散見されますが、そもそも住居というよりはビジネスホテルとウイークリーマンションの中間のような位置付けなのです。コンシェルジュ的なサービスが充実しており、1階にはコンビニもあったりで、短期滞在をターゲットにしていることが解ります。
「おもしろい」建築がまたひとつなくなり、東京の魅力が減るなあと思います。無責任ではありますけど。