エピソードの前提が気になって、その先に進めない。
職場の懇親会で、「終電に間に合わなかったとき」の話題になった。
タクシーで帰って1万円だった、知り合いの家に泊めてもらった、公園で寝た、等々の「終電に間に合わなかったとき」のエピソードが、ほうぼうから繰り出される。
「あっ、そういえば木曽路で泥酔してしまったときに……」
ちょっと待って、木曽路って泥酔するようなお店でしたっけ。
「木曽路で泥酔」の前提が気になってしまい、その後に続く「スーパー銭湯のトイレの個室で始発まで過ごした」が霞む。もはやどうでもいい。
いや、いま考えると「スーパー銭湯なのにトイレの個室で始発まで!?」だな。
木曽路って、法事とかに使うちょっといいお店だった気がするのだが、そこにおいて泥酔。「なぜ、どうやって、木曽路で泥酔したのか」を根掘り葉掘り聞こうにも、いまいち判然としない回答。(泥酔していたから)
こういった「エピソードの前提が気になってその先に進めない」で思い出されるのは、友人と電車で移動中、その友人の大学時代の先輩に車内で偶然会ったときのこと。
「エピソードの前提が気になってその先に進めない」状態だったので、何のきっかけでどんな話をしていたのかはまったく覚えていないのだが、友人の先輩と友人はこう言っていた。
「おれが、いわゆる世間的に『公衆便所』と呼ばれるバイトをしていたときなんだけど……」
「あー、あの熟女のやつですね」
「そう、それ」
ここで死ぬほど笑ってしまい、以降の記憶がない。