昨年11月の3連休、友人と福井周辺に旅行にいった。前々からめがねのまち鯖江に行ってみたかったこともあり、であればおもしろいところ(「めがねのまち」も充分おもしろいが)にも行っておこうという寸法である。
例によって偏った(そんな偏ってないかも)画像で、いまさらながら振り返っておきたい。
大雨である。
この日、台風から変わった温帯低気圧が日本を横断し、広い範囲で大雨となった。11月なのに台風。
「大雨で道路が通行止めになるかもしれない」、そんな焦りと不安を抱えつつ見学したのがこちらである。
友人が抽選を引き当てたスーパーカミオカンデ見学会。このために岐阜の奥へと入り込んだのだ。「大雨で見学会が中止になるかもしれない」という焦りと不安もあったが、予定どおり見学させていただいた。
現在、ハイパーカミオカンデも目下建設中とのこと。そこはかとなく小学生男子を感じるネーミングだが、東京大学の研究員のかたの説明は解りやすかった。
この日の朝に買った今井商店のますのすしを、ビジネスホテルで夜にいただく。
わっぱを開けたところ一面に白米が広がり「ま、ま、ま、ますが入ってない! なにのすし!?」と焦ったが、底にちゃんと敷かれていました。
こちらのますのすしを購入しているところを友人が撮ってくれていたのだが、わたくしはサイフを携え職人の手捌きを凝視しており、この時点で「ます不在の蓋然性」をわずかながら懸念しているようすが垣間見える。
ビジネスホテルで観るローカル番組だけから得られる栄養素、あると思う。
地方都市の地域交流施設だけから得られる栄養素、あると思う。
翌日は天気も回復し、観光列車「はなあかり」の旅を楽しんだ。
城崎温泉から敦賀までを5時間くらい、途中駅での下車を盛り込みながらゆっくりと進む。各駅ではちょっとしたお土産もいただきながら、ふつうの鉄道旅とは違ったおもむきを感じる。
青い空、茶色い海。同行の乗客(おばあさん)が「(海が)汚いわね!」と連呼したのち持参した食パンをちぎっては食べ、ふつうの鉄道旅とは違ったおもむきを感じた。
翌日は、福井県のおもしろいところを回った。
越前大仏。画像だと伝わらないがかなりの大きさがあり、やはりでかいものってシンプルにおもしろい。
越前大仏に行く途中、7人くらいの若者を乗せたワンボックスカーが前方を走っておりずっと同じルートだったため「まさか陽キャ集団も越前大仏に?」と友人と話していたのだが、「勝山警察署」と書かれた矢印方面に左折していったので「ああ、出頭ね!」と納得感に包まれた。
松岡を名乗るものとしてはどうしても行っておきたかった「松岡駅」。
駅舎は建物としても魅力的だった。
作られた「昭和レトロ」には個人的には眉をひそめがちなのだが、東尋坊タワーは本当に天然の「昭和レトロ」であり興奮した。「ボク東尋坊」と小坊主が言っているが、東尋坊タワーから東尋坊は見えないところもよい。なぜ背景色がピンクなのか。
そして、念願の鯖江である。
赤いめがねのオブジェが屋上に鎮座するめがね会館がそびえる。さながらRPGの魔王城のよう。
めがね会館にはめがねミュージアムが併設されており、ここにはあらゆるめがねが展示されていた。
すべてのめがねが愛おしかったのだが、厳選した1枚、「デュアルめがね」を。
鯖江駅からめがね会館までの道は「メガネストリート」と呼称され、街を構成するさまざまなものに、めがねをモチーフとした意匠が凝らされていた。意味性や効果性に鑑みると、常軌を逸している。
わたくしは「鯖江でめがねをつくる」という、日本人ならだれもがやっておきたい経験の実績解除に成功。
後日自宅に郵送された箱には「取扱注意 内容物 メガネ」と書かれており、笑った。産地直送である。
旅行といえばローカルチェーン巡りであることにも異論はないと思われる。
今回の旅行でも、たしかに存在するわたくしの知らない日常に、思いを馳せた。
既視感の非日常。それがローカルチェーン。もはや哲学といっても過言ではない。
1階から4階にかけて正式な起承転結となっている福井「ハギレヤ」の全館案内を記し、筆を置く。