商品のプロモーションに「だまされたと思って」というメッセージが添えられてあると、なんだかイラ立ちませんか。
商品に「だまされたと思って買ってほしい」と書いてあり、実際に使ってみる。すると、以下の分岐が発生します。
1. 期待値を上回る価値があった。
この場合は、「だまされたと思って買ってよかったでしょ? 実際だまされなかったんだし。」となります。
2. 期待値と同等の価値があった。
この場合は、「だまされたと思って買ってよかったでしょ? 実際だまされなかったんだし。」となります。
3. 期待値を下回る価値があった。
この場合は、「だまされたと思って買ってよかったでしょ? 実際だまされたんだし。」となります。
どのような結果であっても、売り手の詭弁が成立してしまうのです。買い手は絶対に反論できません。
プロモーションのメッセージとして、これほど買い手をバカにしているものはないと思います。
また「だまされたと思って」の何も言っていないところも、作り手として怒るべきだと思います。
商品はサービスには、市場で消費者に手にしてもらうためのいろいろな努力や知恵や技術革新が含まれています。「だまされたと思って」はそのようなポテンシャルをすべて単色に塗りつぶすメッセージです。消費者のための努力や知恵や技術革新を訴えるべきところが、荒唐無稽な「だまされたと思って」になってまうのはいかがなものでしょうか。
反証不可能な言説は、真面目に考えるだけ時間のムダであると言えます。
しかし「だまされたと思って」という反証不可能な売り手のメッセージは、買い手と作り手の双方をないがしろにしているとしか思えないので、わたくしはどうにも脈が乱れるのです。
まったく笑えない文章になってしまいましたが、今宵はこれで筆を置きます。