【入院2日目 術後】
手術を終えてベッドごと部屋に戻ってきたわたくしは、看護婦さんからいくつかの注意を受けました。
- 麻酔が切れるのはおよそ4時間後
- 麻酔が切れる前にトイレに行きたくなった場合は看護師を呼ぶこと
- 術前に浣腸しているので排便はないハズ
- 水分はなるべくとらないようにして排尿を回避したい
さらに看護婦さんは続けます。
「麻酔が切れる前にお小水がある場合は尿瓶にしていただきますが、体位や麻酔の状態によっては管を刺して強制的に排出することになります」
なんでそんな怖いこと言うのよ。
いくつかの注意は受けましたが、看護婦さんが部屋を出たあと、わたくしはすぐに眠ってしまいました。
何時間か経て、足腰が徐々に動くようになってきました。目も覚めてきます。麻酔の効果が切れてきたのです。
となると、手術でキズついたわたくしの爆心地(*)にも、痛みを覚えるハズです。
おや…まったく痛くない…?
やっぱり楽勝じゃないか…!
驚くべきことに、爆心地に痛みはありません。現代医術の進歩よ!
わたくしは「やあ、まったく痛くありませんな!」とキタキタおやじの口調で19時の検温のために部屋に入ってきた看護婦さんに明るく話しかけ、ケラケラ笑います。
看護婦さんはそれを無視し、「麻酔が切れているなら、危険なく歩けるかどうかを試してみてもらっていいですか」とわたくしに歩行を指示します。
比較的ちゃんと歩けることも確認できました。
看護婦さんは続けます。
「トイレに行けるようになったので、麻酔をお小水として体外に排出するため、今度はたくさん水分を摂ってください。ただ、麻酔の副作用でお小水が出にくいかもしれません。どうしても出なくてお腹が張ってきてしまう場合は、管を刺して強制的に排出することになります」
それさっきも聞いたよ! 怖いよ!
お小水のことはこの先考えるとして、夜も遅くなったので睡眠導入剤を飲んで再び眠りに就きます。
まったく痛みもないので、手術がこんなにラクだとは思いませんでした。ゆっくり寝て、早くよくなるぞ〜!
明けて深夜4:00すぎ、強烈な痛みとともに目覚め、わたくしはたまらずにナースコールしました。
「い…痛すぎるので、い…痛み止めを…」と。
息が上がり、汗が垂れます。こんなに痛いの…?
麻酔は、完全に解けました。
同時に、痛みとの闘いが、幕を開けたのです。
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(*)爆心地…包み隠さずいうと、肛門のこと。