「昔はよかった」なんて思いません。
昔のほうがよかったなと思うこともありますが(それは若かった頃のバイアスがかかっているだけだと思ってます)、それ以上にいまのほうがよいなと思うことのほうが多いです。
とくにそう思うのが、コンタクトレンズの洗浄方法について。
わたくしは中学2年生からソフトコンタクトレンズを使用していて、その歴はかれこれ20年以上になります。
ソフトコンタクトレンズは夜寝る前に取り外し、洗浄する必要があります。洗浄には専用の洗浄液を使用し、いまはその洗浄液1本で洗浄・すすぎ・保存が可能です。本当にベンリになりました。
しかしかつては、コンタクトレンズの洗浄は「消毒液」「中和液」にわかれていました。わたくしは『コンセプトF』という、このタイプの洗浄キットを使用していました。
おそらくいまは発売されていないと思われますが、当時(15年くらい昔)はこのタイプのコンタクトレンズ洗浄キットが一般的でした。洗浄方法には正しい手順があり、これを遵守しないとキケンだったのです。
- コンタクトレンズを目から外し、専用のケースに入れる
- ケースに消毒液(過酸化水素水)を入れ、洗浄する
- ケースの一部を赤くさせ消毒中であることを表示し10分放置する
- 消毒液を捨て、中和液を満たし(確か)4時間以上放置する
- コンタクトレンズの装用が可能となる
めんどくせ〜!
いま考えると異常なまでの面倒くささです。毎晩毎晩これをやるのです。
消毒中はケースの上蓋を回転させ位置を合わせて一部を赤く表示させるのですが(実物がないと説明が難しい)、この「赤く表示」を忘れたりするとたいへんでした。「中和済みで装用できる」とカン違いし、過酸化水素水で満たされたコンタクトレンズを装用することになりますから。ひどい痛みを感じ、目は真っ赤になります。
痛みで目は開かず、後悔の念のみが自分を支配します。朝からそんな状態ですから、その日1日はパッとしないものでした。目の痛みをこらえ、めがねをかけて過ごします。「もう二度と間違えるものか」と思っても、半年もすればまた過ちを繰り返すのです。
中和を忘れて寝てしまい、朝起きたら「赤い表示」のままだった、ということも何度もありました。中和には時間がかかるので、その日はコンタクトレンズを装用できず、めがねで過ごすことになるのです。
めがねがイヤでコンタクトレンズを使用しているのに、そのケアに失敗してめがねをかけることになるのは、本末転倒です。
それがいまや、洗浄から保存までが1本の洗浄液で可能になった。革命です。
この洗浄液の存在を知ったとき、わたくしは泣いて喜びました。泣くほどではなかったですが、喜びました。
生活は確実に向上しています。
だからわたくしたちは、この便利な生活を、さらに向上させていく義務があるのです。
「昔はよかった」「いまはもっとよい」「将来はさらによくなる」。
「昔はよかった」だけで終わらせないようにしたいものですね。